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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1032号 判決

被告人

中沢透

主文

本件控訴を棄却する。

当審において生じた訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人大池龍夫の控訴趣意について。

仍て按ずるに原判決によれば、原審は論旨挙示の証拠によつて被告人が昭和二十四年六月二十三日服部昇の依頼によつて、その賍品たるの情を知りながら白木綿五、六十反を愛知縣西春日井郡楠村大字味鋺十八番地の服部昇方から被告人の肩書居宅迄運搬した事実を認定したものであることが明かであり、且つ原審挙示の証拠によつてその判示事実はこれを優に認めるに足りる。尤も被告人の原審公判廷の供述は論旨摘示のように知情の点を否認しているのであつて、この点をも証拠とすることはその判示事実に照合して証拠法則に反するものというの外はないのであるが、その判示事実の内容と挙示された全証拠とを対照すれば原審が被告人の原審公判廷における供述を援用したのは、被告人が単に服部昇から依頼されて判示日時判示場所において本件の物件を運搬したという客観的事実に関する供述に限定する趣旨であることは、容易に確認し得るのであるから原審の措置を以て証拠法則違反乃至理由齟齬があるとする論旨は採用の限りでない。

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